日本の2012年問題 [ものの見方・考え方]

団塊世代の定年退職に備えて、いろんな職場で人材確保が図られた。
2007年問題と言われ、企業の採用計画に、それなりの影響を及ぼした。
その波が、次の波を起こそうとしている。
多数の雇用者が、60歳で退職し、65歳で年金族となる。
大量の年金受給者が発生し、年金の積立金が取り崩され始めるのだ。

長年、年金の払い込みを通じて、基金の資産を増やしてきた世代が、
どっと、取り崩しの側に回る。
学年としては、1947年4月生まれの人からが団塊の世代になるが、
45年8月に戦争が終わって、兵役から解放された人達が家庭を持ち始めたのだから、
46年から出生率が上がったことは容易に想像できる。
その人達が、65歳になるのが今年、2011年後半である。

この世代の人達への年金支払額が、どれくらいに上るのか。
財政に及ぼす影響はどうか。

膨大な財政赤字を抱える日本。
現在、国と地方の長期債務残高は、850兆円を超え、何時、破産するのかと心配されている。
他国と違って、外国人が支えているのではなく、
日本人が買い支えているから大丈夫だ、という人も居るが、そうだろうか。
支えている日本人とは、年金と郵貯のこと。
国民の積み立てた年金資金と、郵便貯金の預入金が、国債を買い支えている2本柱である。

その年金基金が取り崩しの時期に入るのである。
大きな影響を及ぼすだろう。

1年前、鳩山政権下で金融大臣(郵政担当)の亀井氏が、
郵貯の預け入れ限度額を、1000万円から、一挙に2000万円に増額する案を発表した。
国会を通過することにはならなかったが、これは、
  年金の取り崩しを補うためにも、郵貯の預金残高を増やしておかねばならない、
という状況を物語っている。
実際には、郵貯の残高も、年々減っている。
あまりの低金利に、預金者は預金を取り崩して他の投資に向けているのである。
多くが海外の高金利に向かっている。
国債の利払いを避けるために、ゼロ金利を続け、
国民の貯蓄意識に応えることを怠ってきたツケ、と言えよう。

年金も郵貯も、何時までも国債を引き受けられる訳ではない。
ある日、国債が売れ残る、つまり、完売できなかったらどうなるか。
債権が売れなければ、金利を上げるしかない。
金利が上がったら、利払いで国家予算は吹っ飛ぶ。
そういう時限爆弾の上で、今の日本は国を経営しているのである。
37兆円の税収しかないのに、92兆円の予算を国会に提出する現政権。
借金の上積みに、余りにも無神経すぎる。


 さて、私達は、どのように備えるべきか。


仕事を探している人は、
求職活動の土俵が、一瞬にして様変わりする事態も想定しておいた方がよい。
山積みの国債や地方債を前に、公務員の給与カットやリストラも、現実のものになる。
様々の社会支援(生活保護等)も維持は不可能となる。
文化生活は、原始生活に戻るのである。
公の支援で生きるのではなく、私の自助で生きてゆくのである。

出来れば、どんな仕事でもよいから、職に就いておきたい。
給料が安くても、仕事が厳しくても、職場の人とのつながりが有る、
というだけでも、孤立の中で不安に取り巻かれるよりも良いのではないか。
信用できる人が身近に居る、という状況だけでも用意しておきたい。
誠実に仕事に取り組み、信用される人間になっておきたい。
支えあえる言葉を交わせる場が、イザという時の拠り所になる。

資本主義の原点。金(仕事)を縁にして繋がりあう、とでも言えよう。
  要領よく金を稼ぐのに腐心するよりも、
  丁寧な仕事をして、人間としての信用を築いてゆきたいものである。
資本主義の原点は信用だ、と考えるのだが、どうだろうか。

タグ:信用 年金 国債
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