日本はエネルギー大国になる [これからの仕事]

課題1: 電力の発・送・配分離を為しえるか

 現在、電力料金は、原価の上に一定の利益を上乗せすることによって決定されている。コストが掛かれば掛かるほど、上乗せされる利益の額も多くなる。コスト削減の必要性は生まれない。今まさに、福島第一原発の事故に関する費用を上乗せして、電力料金の値上げを実施しようとしている。役員報酬が返上されたとか、社員のボーナスが無くなったとか、そんな話は聞かない。

 この地域独占を解除し、自由に競争に参入できるようにすれば、コスト削減が実現する。今の独占体制の下では、仮に、自家発電で大きな電力を発電していても、緊急時に近隣の病院などに電力を供給することは出来ない。電気自動車に家庭電力を蓄電し、不足の時間帯には、反対に家庭に電力を戻す、という構想はあっても、その電気自動車が、異なる場所に移動して、よその建物に電力を提供することは出来ないのだ。

 電力こそ、高圧電線を延々と設置することよりも、地産地消で融通し合えば良いのである。実例として、東京都の八丈島では、海の上を送電できないために、地熱で発電し、少し温度が低くなったお湯で、ハウス栽培のエネルギーをまかなっている、と言う。温室の灯油が必要なくなったとの事である。


課題2: 性能の良い蓄電池を開発できるか

 電気は蓄えておくことが出来ない。だから、瞬間最大消費電力を予測して、発電設備を用意しなくてはならない。しかし、電気が保存できたら、どうなるか。消費が少ない時間帯に蓄えておけばよいのだ。大幅な設備削減が可能になる。

 電気自動車の開発競争の中、各国が競って蓄電池の性能を向上させている。この流れが、電気を自由に持ち運び、必要な時に、必要な場所で、必要な人に、必要なだけ電気を提供する社会を実現する。課題1の独占は、早い時期に崩れることだろう。


課題3: 利権にとらわれずに柔軟な思考ができるか

 原子力利権に群がった、企業、政治家、学者、マスコミ、地元地域の汚れた関係が明らかになった福島原発事故。石油利権も同じである。車社会を実現するために必要だったガソリン。原油は、ガソリンだけでなく、灯油、軽油、重油、タールと精製過程で生産される。これを満遍なく消費しなければならない。だから、冬場の暖房だけではなく、ビニールハウス栽培に灯油を用いる、軽油でも車を走らせ、重油でタービンを回し、タールで道路を舗装する。

 地熱発電が、最も効率の良い発電であることが分かっていても、そこからガソリンが生産できるのでない限り、原油の輸入を止める訳には行かない。中東からの輸送経路の防衛にまで経費が及ぶ。

 しかし、車がガソリンから電気に移行するに従って、原油の重要性は低くなる。中東の民主化の波も、あながち純粋な運動とは言い切れないだろう。電気自動車の電気は、原子力で、というのが米欧の基本的な合意だったのではないか。石油の次は原子力で儲ける、という積もりだったのだろう。日本も、この路線に有無を言わさず従わされるところだった。‥‥福島の事故までは。

 さあ、日本はどうするか。少なくても国民は、原子力を基本にすることは許さない。気が付けば、日本の国土は、地震や津波で被害を受けるものの、火山や温泉の地下は、地熱の宝庫である。八丈島の例を、全国に広げてゆけばよい。地域が、自分たちに合った規模で、発電所と消費社会を運営するのだ。地熱なら、タンカーもパイプラインも必要ない。備蓄設備も要らない。天災に備えて盛り土や堤防を大規模に造成する必要も無い。消火のための化学消防設備や冷却のための発電設備を万全に整える必要も無い。天災や事故に遭遇しても、熱湯が吹き出るだけである。

 火力発電も原子力発電も、化石燃料や原子力を使って高温の熱水を作り出してタービンを回しているだけ。わざわざ、多額の金を費やしてお湯を沸かしているだけである。ならば、地下から熱水をくみ上げれば済む。二酸化炭素も排出しない。放射能も出ない。水蒸気だけである。

 地熱発電だけで全てが賄えなければ、日本近海に豊富にあるメタンハイドレートである。火力発電で重油やガスを燃やしている代わりに、このメタンガスを用いる。技術的に難しいことは無い。地熱は輸出できないが、このメタンハイドレートは輸出も出来る。

 日本は、地熱とメタンハイドレートで進めばよい。

 太陽光発電は、面積のわりには発電量は限られている。晴天の昼間しか働かない。車だって洗車が必要なのだ。発電パネルの清掃保全は、結構な経費になる。
 風力発電は、低周波の被害が報告されているし、鳥の死体の山になるとも言う。海岸線や山の稜線は、風車の土台のコンクリートに占領されたくは無い。
 風光明媚な日本の自然は、海も山も平野も、自然のままの美しい姿で、次の世代に引き継いで行きたいものである。

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